ふつう高校の入学式というのは覚えているものでしょうか?卒業式は記憶にあっても入学式までは…というのが多数派だと思います。新たな生活を切る第一日目は何もかもが新しいことだらけ、担任の先生やクラスメイトの顔も覚えなければいけない…記憶しなくちゃいけないことが山ほどありました。3年間にはそれ以上にうれしかったこと、楽しかったこと、辛かったこともあったはずですし、卒業から今に至るときまで、各人が様々な出来事を経験します。
ただこの日をきっかけに出会った二人が、今では一番の親友になったり、はたまた結婚したり・・・。それを思えばわたしたちの生涯において重要な一日だったのは間違いなく、その記念日を何とかして記録に残しておきたいものです。日記でもつけていれば克明に描写できるのでしょうが、あいにくと頼れるのは9期生それぞれの記憶の断片と、卒業アルバム中の入学式の様子を記した1ページだけ。多少の思い違いや推測が入り混じりますが、その記念日を改めて探っていきたいと思います。
昭和63年4月7日(木曜日)午前8時30分 於1年生教室
初日から遅刻をかます人はさすがにいなかったでしょう。初登校の朝、それぞれ指定された教室に赴いた470人は出席番号順に着席し、担任の先生が到着する8時35分までの5分間、とりあえずは自分の前後左右に座る人たちと簡単な自己紹介を交わしながら探りを入れあったり、もしくはおとなしく席に座って続々と入ってくる級友を見ては「あ、この人は話しやすそうだ」とか「近寄り難い雰囲気だわ」と人物観察から入った人もいるはずです。
そうこうするうちに始業のチャイムが鳴り、それぞれの担任の先生が教壇に立ちました。ここから先は各クラスごとで当然異なり、名前の読み方を確認するために出席を取ったり、それにあわせて自己紹介を行ったことと思います。前の人が「〇〇中学出身の…」といえば次の人も同じ口上を繰り返すという自己紹介が延々と続いた気がします。もちろん中には「何かやらなくちゃ」と思ったのか、積極的に自己を売り込んでいった人もいましたね。
もちろん高校生活最初の1年間お世話になるそれぞれの担任の先生からは激励を含んだ挨拶もいただきました。
午前10時00分入学式典 於体育館
各教室で自己紹介が終わった9時45分頃、先生の指示により廊下へ出て二列に整列します。並び方は右側が出席番号1番を先頭に24番まで、左側の列は出席番号25番を先頭に47番(或いは48番)という並び順です。整列が終わると先生の後に続く形で入学式典が行われる体育館へと移動しました。そして午前10時「新入生入場」という号令の後、保護者や先生方からの拍手で迎えられた470人は、そのままの隊列で会場内へと進んでいきます。
卒業アルバム内の写真から判断すると、式典会場は右図のように設営されており、新入生の席順は10組を最前列、1組が最後列になっています。入退場の順番ははっきりとしないのですが、アルバム下部に10組退場時の写真が掲載されている(先頭なので撮影しやすい)ことから、おそらくは入場時が1組、退場時は10組から行われたと推測されます。
壇上へ上がるための階段は左右中央の3ヶ所に架けられ、中央階段のたもとには新入生代表があいさつを行うためのマイクスタンドがセッティングされています。
体育館左前方には白布で覆われた来賓席があり、そこに座るお二人は教育委員会、PTA会長のいずれの方でしょうか。その手前にはもう一つマイクスタンドが設置され、こちらは二人の先生が司会をご担当されています。
他方体育館右側は教職員用パイプ椅子が並び、田口校長先生、増田教頭先生、学年主任の石井先生を筆頭にこれから三年間お世話になる先生方が一堂に会していました。
式典当日はこんなにキョロキョロする訳にもいかず、実際にはほとんどステージ上だけを見ていたことでしょう。そのステージですが、中央には演壇と花瓶が配置され、演壇の左後方にはネクタイ中央と同じ色の校旗、そしてグランドピアノもあります。
昭和63年度入学式式次第
| 1. |
新入生入場 |
| 2. |
開会の辞 |
| 3. |
(新入生呼名) |
| 4. |
校長式辞 |
| 5. |
来賓祝辞 |
| 6. |
新入生代表答辞 |
| 7. |
教職員紹介 |
| 8. |
新入生保護者代表あいさつ |
| 9. |
閉会の辞 |
出席した保護者向けには入学式式次第なる小冊子が配布されたのかもしれませんが、新入生は手ぶらで体育館へやって来ましたので式典がどのように進行していくのかはまったくわかりません。おそらくは体育館右前方にこのような式次第が掲示されていたものと思われます。
右記式次第の内容はあくまで想像ですので、実際の進行とは異なりますが、大筋では正しいと思います。在校生(私たちの先輩7期生・8期生です)とは入学式翌日4月8日の対面式が初顔合わせとなり、その場で在校生から歓迎のことばや幕西校歌が披露されたことでしょう。
ただ新入生呼名はあったのか…3年後の卒業式では全員の名前が呼名されていますが、470人という大所帯だったこともあって省略されたかもしれません。ここまでの所要時間はせいぜい1時間程度で、11時過ぎには再び各教室へと戻っていきました。とはいえ、この日はこれだけでは終わりませんでした。
入学式後の教室
式が終わり教室へ戻ってからも、すぐには下校せずいくつかの雑務がありました。まずは写真撮影。これは後述する身分証明書発行のためです。当然470人一度に撮影はできませんので、クラスごとに特別棟1階購買横の会議室に赴き、撮影を行います。この会議室は入学願書受付や、合格発表の番号がガラスに張り出された部屋なのですが、普通の生徒には縁の無い場所ですので、ほとんどの生徒はこの写真撮影と健康診断などの特殊な行事でしか足を踏み入れることはなかったことでしょう。その写真撮影の順番がクラスごとにまわってくるまでは、それぞれの教室において様々な品物が配布されました。
身分証明書
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| 昭和63年度(1年生) |
平成元年度(2年生) |
平成2年度(3年生) |
これはチャリ通の人々にとってはあまり縁の無いものですが、電車通学の人は定期券購入時に提示しなければならなかった身分証明書です。右上の88から始まる6桁の学籍番号は三年間を通して変わらず、頭の88は私たち9期生の入学年、次の番号は男子が1、女子が2と割り振られ、そして残りの下3桁は男女別50音順に並べた時の順番を表しています。具体的に言えば学籍番号『882100』の人は『88年に入学した女子で、女子50音順では100番目の生徒』という訳です。まったく同じように見える身分証明書ですが、よくよく見ると差異があり、2年生以降の平成バージョンは最初から4月1日と印刷されていますが、昭和63年度版のものは入学式の日付4月7日を自分で書き入れています。また3年時の割り印スタンプのデザインも変更がされています。
写真を撮影したからといっても470人分を現像して割り印を押すのに数日は要するはずです。そのため数日間は各自切符を毎朝購入してやり過ごすことになりました。
生徒手帳
緑色のカバーを外した生徒手帳本体です。生徒手帳そのものは中々出番の少ない存在じゃありました。もちろん公には携帯すべきものですが、出番といえば、秋口頃に行われた翌年の選択カリキュラム説明会の前後でしょうか?選択教科を選ぶ時にこの手帳を開く機会がありました。それを除けば、私たちが在学中は校則や細則が変更されることも特にありませんでしたので目を通す機会があまりなかったです。そのためか状態はすこぶる良好です。ただ中にはこの手帳を定期入れ代わりに使っていた人もいるかもしれませんね。
校章
当初、校章は制服の値段には含まれないだろう、と推測していたのですが、卒業文集内の入学式のページをよくよくチェックして見るとしっかりと左胸に着けていました。入学式当日の朝みんなが買い求めたとか、支給されるほどの時間は無かったと思いますので、やっぱりこれは制服セット一式に含まれていたのでしょう。
教科書
そして忘れちゃならないのが高校生の本分、勉強です。最初の1年間使用した教科書は以下の通りでしたが、現代社会などは教科書を使用せず、資料集をベースに授業が進んでいた教科もありました。「現社・現国」という中学時代には無い言葉の響きに、高校生らしさを感じたり、知らない単語が並ぶ英語の教科書や行間の狭い現国の教科書に「勉強付いていけるのか…」不安もよぎります。しかし2年時以降の選択教科を思えば、たった5冊(人によっては6冊)なんてかわいいものです。
昭和63年度幕張西高校1年生使用教科書
| 国語T |
東京書籍 新編国語T |
| 数学T |
数研出版 三訂版高等学校新編数学T |
| 現代社会 |
一橋出版 新現代社会 |
| 理科T |
第一学習社 高等学校改定理科T |
| 英語T |
池田書店 Revised Edition PRACTICAL ENGLISH COURSE T |
| 芸術(音楽T) |
音楽之友社 高校生の音楽T |
| 芸術(書道T) |
東京書籍 書道T |
体操服
体操服、ジャージ、体育館シューズについては購入申込書があって、そこにサイズ・数量を記入するというものでした。しかしこの申込書が入学説明会で既に配布されていたか、それとも入学してから配布されたかは記憶が定かではありません。うろ覚えじゃあるのですが、校内のどこか(多分下駄箱前)で引き換えを行ったような気もしますがいかがでしょう?また9期生の上履きや体操服などは緑色で統一されていました。これは幕西だけでなく、幕東・幕北の9期生も同様です。色の好みは人それぞれですが、「紺色が良かった…でもあずき色じゃなくて良かった」という「可もなく不可もなく」的な評価が一般的でしょうか。進級してもこの色は同じで、好き嫌いにかかわらずこの緑色と三年間付き合うことになりました。緑色は9期生だけでなく幕張三校3・6・9・12・15期生が、紺色は1・4・7・10・13期生、あずき色は2・5・8・11・14期生が使用しています。
かすかな記憶と推測の入り混じる入学式当日ではありますが、いろいろと協力してくれた皆さんのおかげで作りかけだったこのページを何とか仕上げることが出来ました。もちろんこれは完璧な記録ではありません。ただこれがきっかけで「いや、実際はこうだったはず」と思い出す手助けになれば幸いです。 |